『熱き心に』が国民的ヒットへと駆け上がった背景には、巧みなメディア戦略と広告タイアップの存在がありました。本作は、味の素ゼネラルフーヅ(現・味の素AGF)のインスタントコーヒー「マキシム(MAXIM)」のCM曲として大々的にオンエアされました。
冬のギフトシーズンに合わせ、雪景色や大自然を背景に流れる重厚なストリングスと小林旭の歌声は、お茶の間に強烈なインパクトを与えました。CMを通じて楽曲の認知度が急速に高まり、有線放送やレコードチャートを長期にわたって賑わせることになります。
そして1986年末、ひとつの歴史的瞬間が訪れます。1956年の銀幕デビューから実に30年目にして、小林旭は第37回NHK紅白歌合戦に初出場を果たしました。大御所映画スターでありながら歌謡界でも頂点を極めた男が、満を持して紅白の舞台で『熱き心に』を堂々と歌い上げた姿は、昭和のテレビ史に残る名場面として現在も語り継がれています。