back numberの通算4枚目となるフルアルバム『ラブストーリー』の7曲目に配置された「世田谷ラブストーリー」は、ファンの間でもバンド屈指の名バラードとして語り継がれています。「高嶺の花子さん」や「繋いだ手から」といったキラーチューンが並ぶ同作において、本作は極めてパーソナルかつ生々しい質感を持ったミディアムナンバーです。
舞台は東京都世田谷区の夜。居酒屋でグラスを傾け、他愛もない会話を交わした帰り道、二人は並んで駅へと歩みを進めます。歌詞全体を貫いているのは、「終電がなくなればいいのに」という切実な欲望と、それを口に出せない主人公の気弱な自意識の対立です。
夜風の冷たさや街灯の光、歩道を踏みしめる靴音までが目に浮かぶような描写は、清水依与吏の真骨頂と言えます。相手の表情や仕草ひとつに一喜一憂し、深読みを繰り返す主人公のモノローグは、誰もが一度は経験したことのある「あと数十分で終わってしまう特別な夜」の緊張感を克明に再現しています。