『TSUNAMI』という強烈なタイトルから、時としてドラマチックな自然現象そのものを想起させますが、桑田佳祐氏が歌詞の中で描いたのは「自分ではコントロールできないほど押し寄せる情熱的な恋心」です。
冒頭の「風に戸惑う弱気な僕」から始まり、恋に落ちた人間が抱く脆さや臆病さが繊細に描写されます。サビで炸裂する「見つめ合うと 素直におしゃべり出来ない」「津波のような侘しさに I know.. 怯えてる, Hoo...」というフレーズは、相手への強い想いが高まれば高まるほど、同時に孤独感や失う怖さに襲われる人間の心理的リアリティを克明に表現しています。
また、日本語の語感に対する徹底的なこだわりも見逃せません。歌詞をすべてひらがな表記で追うと、「めぐりあえたときから まほうがとけない」「すきなのに なかないで」といった平易な大和言葉の響きが美しく連なり、聴き手の潜在意識に直接語りかける構造になっています。失恋や別れの予感を抱えながらも、相手に出会えた奇跡を全肯定する——この切なくも気高い愛の受容こそが、発売から年月を経ても色褪せない感動の核心です。