映画界における彼女の評価を決定づけた金字塔といえば、本谷有希子の小説を映画化した『生きてるだけで、愛。』を置いて他にない。過眠症によって引きこもり生活を送り、感情のコントロールが効かずに自他を傷つけてしまう主人公・寧子。エキセントリックでありながらどこまでも純粋な魂の叫びを、彼女は全裸同然の体当たり演技と鬼気迫る情念でスクリーンに焼き付けた。
この演技によって第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した際、映画関係者の誰もが「本物の怪物が現れた」と戦慄したという。痛みや醜さから目を背けず、人間の複雑怪奇な内面を丸ごと肯定するようなその芝居は、単なる感情表現の枠組みを完全に突破していた。身体表現の極致を追求する彼女の美学が、この一本のフィルムに凝縮されている。