抹茶と粉茶の違いをプロが解剖!寿司屋のお茶の正体と製法の決定的差

抹茶と粉茶の違いをプロが解剖!寿司屋のお茶の正体と製法の決定的差

抹茶と粉茶の違いをプロが解剖!寿司屋のお茶の正体と製法の決定的差にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

健康管理や覚醒効果を期待してお茶を取り入れる際、無視できないのが成分密度の相違です。文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の客観データに基づき、浸出液と粉末丸ごと摂取時の含有量を比較すると、衝撃的な事実が浮き彫りになります。

まず、覚醒作用を左右するカフェインの含有量です。抹茶は100gの茶粉末中に約3,200mg(3.2%)ものカフェインを含有しています。標準的な点て方(粉末2gに対し湯60ml)で摂取した場合、1杯あたりのカフェイン量は約64mgに達します。これは一般的なドリップコーヒー1杯(約60mg)と同等以上の水準です。日光を遮る覆下栽培では、茶樹がアミノ酸を多く蓄積する過程でカフェインの合成も促進されるためです。

一方、粉茶を茶こしで抽出した場合、茶葉中のカフェインは一部しか溶出せず、浸出液100ml中のカフェインは約15〜20mg程度に留まります。ただし、粉末緑茶として茶葉ごと1〜2gを丸ごと摂取した場合は約30〜40mgとなります。夜間のリラックス目的で濃厚な抹茶を摂取すると、覚醒作用によって睡眠の質を著しく損なう危険性があるため、時間帯に応じた見極めが必要です。

対して、強力な抗酸化作用や体脂肪低減効果で知られるエピガロカテキンガレートをはじめとするカテキン類は、日光を浴びて育った粉茶および粉末緑茶に軍配が上がります。抹茶はカテキンへの転換を抑えているため渋みが少なくまろやかですが、純粋なカテキン摂取効率を最優先するならば、煎茶由来の粉末緑茶をまるごと飲む方が理にかなっています。

ここで浮上するのが、「なぜ抹茶や粉末緑茶は水と混ざり合い、粉茶は溶けないのか」という物理的メカニズムの疑問です。

化学的に厳密に言えば、抹茶も粉末緑茶も水には1ミリも「溶解」していません。茶葉の主成分は不溶性の植物性セルロース(細胞壁)であり、塩や砂糖のように分子レベルで水分子の間に溶け込むことは絶対にありません。起きている現象は「溶解」ではなく、微粒子が水中に散らばって漂う「懸濁(けんだく)」です。

抹茶の粒子径は5〜15ミクロン(スギ花粉の半分以下)と極めて微細であるため、液体の粘性とブラウン運動によって沈降速度が極端に遅くなり、あたかも完全に溶けているかのように見えます。一方、粉茶の粒子は100ミクロン以上と巨大であり、比重の重さから重力に逆らえず、注いだ直後から急速に湯呑みの底へと落下してヘドロ状の層を作ります。これが「溶ける・溶けない」の物理的真相です。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。