耐衝撃ケースのパッケージで最も目にする「米軍MIL規格(MIL-STD-810G / 810H)」という表記。消費者に絶対的な安心感を与える魔法のフレーズとして定着していますが、ここには重大なレギュレーションの盲点が潜んでいます。
米国国防総省が制定したMIL-STD-810H(Method 516.8 Shock)のドロップテスト手順を精査すると、試験環境は「厚さ約5cmの合板(ラワン材など)を敷いたコンクリート床」に対して、高さ約1.22m(4フィート)から26方向の落下を行うものと規定されています。木製の合板は、わずかながら素材自体がしなり、衝撃を吸収する性質を持っています。つまり、「MIL規格クリア=硬質なアスファルトや突起のある敷石に落としても無傷」という意味ではありません。
現実の路上トラブルでは、粗いアスファルトの小石や縁石の角がケースの土手を乗り越え、露出した液晶ガラスへ直接ヒットします。いくら背面や側面が強固であっても、画面側のフチ(ベゼル)の立ち上がりが1mm未満のケースでは、路面の凸凹による物理的接地を回避できません。「MIL規格だから安心」と過信して粗悪な薄型ケースを選んだユーザーが、初回の落下で画面を粉砕させる主因がここにあります。