2005年、第15回ショパン国際ピアノコンクールでの第3位入賞。あの歴史的快挙から20年余りの時が流れた。当時、弱冠22歳だった青年は、いまや日本クラシック音楽界を牽引する中堅・中核の巨匠へと着実にステップアップを遂げている。
ショパンの音楽は、彼の演奏家としての原点であり続ける。しかし、かつての若々しい旋風のようなルバートは、今や深く重厚な詩情へと姿を変えた。時を重ねるごとに削ぎ落とされた無駄のないタッチ、一音一音に込められた文脈の重み。そこには、ワルシャワ音楽院でピオトル・パレチニに師事した正統派の血脈と、20年間の絶え間ない試行錯誤が深く息づいている。