1980年代から1990年代にかけて、真矢みきさんが宝塚の舞台で見せた姿は、まさに劇団の歴史を揺るがす「革命」でした。当時の男役といえば、きっちりと固めたリーゼントヘアに濃いドーラン、くっきりと描いたアイラインという厳格な様式美が絶対のルールでした。その伝統に対して、彼女は真っ向から新たな風を吹き込んだのです。
第1の変革は「ナチュラルなヘアスタイル」の導入です。リーゼントを崩し、あえてさらさらの長髪や動きのある無造作ヘアで舞台に登場した姿は、当時のファンや関係者に鮮烈な衝撃を与えました。現代の男性が持つリアルな色気や軽やかさを、宝塚の舞台上に持ち込んだ瞬間でした。
第2の変革は「素肌感を重視したナチュラルメイク」です。舞台用の厚塗りを削ぎ落とし、自身の表情筋の動きや瞳の輝きがダイレクトに伝わるメイクを考案。これにより、遠くの客席だけでなく劇場のどの位置から見ても、生身の人間の感情が痛烈に届く独自の表現力を手に入れました。
そして第3の変革が「現代的なファッションセンスと立ち居振る舞い」です。男役特有の肩肘を張ったポージングではなく、ジョルジオ・アルマーニをはじめとする洗練されたメンズスーツを軽やかに着こなすなど、徹底して「今を生きるカッコいい男」を体現しました。この既成概念にとらわれない独自のスタイルが、従来の宝塚ファンのみならず、感度の高い一般層をも巻き込む熱狂的な人気と評判を獲得したのです。