ランニング中にスマホをどこに入れるべきか迷った末、ジャージやショートパンツのサイドポケットにそのまま差し込んで走り出すランナーは少なくありません。しかし、この携行方法はバイオメカニクスの観点から見て、ランニングフォームを著しく損なう危険な選択です。現代の大画面スマートフォンは本体とケースを合わせて約200〜250gの重量があります。この重量物が着地のたびに太ももの外側で遠心力を伴って跳ね上がると、下肢の引き上げ動作を阻害し、左右で異なる筋活動を強いることになります。
ランニング中の着地衝撃は体重の約3倍に達するため、ポケット内のスマートフォンは激しい上下動を繰り返します。その結果、遠心力によってランニング中にスマホがポケットから落ちるアクシデントが頻発します。ロードサイドのアスファルトに落下させて液晶画面を破損したり、後続のランナーや自転車と接触したりするリスクは極めて深刻です。「落ちるのではないか」という心理的不安そのものが、無意識に着地を硬くさせ、膝や足首の関節に余計な負荷をかける要因にもなります。
さらに警戒すべきは、ポケットの揺れを嫌ってスマホを手持ちしたまま走り続けるスタイルです。片手に200g超の負荷を固定すると、左右の腕振りの慣性モーメントに明らかな偏りが生じます。手首や前腕の筋肉が無駄に緊張し、僧帽筋から肩甲骨周りの柔軟性がロックされます。肩が上がった状態でキロ数千歩のストライドを刻み続ければ、慢性的な首・肩の凝りや腰痛を引き起こし、結果として呼吸循環器系のパフォーマンス低下を招きます。走る時のスマホ携帯において「手持ち」と「通常ポケット収納」は、最も避けるべき初歩的ミスなのです。