木枯らしは、気象現象としての側面に留まらず、日本の伝統文化や文学の中で「侘び寂び(わびさび)」や無常観を象徴する重要なモチーフとして愛されてきました。俳句において「凩(こがらし)」は初冬の季語として分類されます。
松尾芭蕉が遺した名句「凩の果はありけり海の音」では、内陸の山野を吹き荒れ、木々の葉をことごとく落とした冷風が、最後に荒涼とした海に行き着いて轟音を響かせる情景が見事に描写されています。また、芥川龍之介の「凩や目刺にのこる海のいろ」のように、寒風が吹き抜ける庶民の暮らしの厳しさと静けさを切り取った作品も広く知られています。
草木を枯らす厳しい風でありながら、冬の訪れを情緒豊かに受け止める日本独自の自然観が、この言葉には凝縮されています。