一般の方の間で最も混乱を招きやすいのが、水疱瘡 帯状疱疹 うつるという感染経路のメカニズムです。「帯状疱疹の患者から、周囲の大人に帯状疱疹がうつるのか」という問いに対する医学的な答えは「うつらない」です。帯状疱疹は自己の体内に眠るウイルスの再活性化であり、外部から帯状疱疹の病態そのものが伝播することはありません。
しかし、ここで最大の落とし穴となるのが未感染者に対するリスクです。帯状疱疹から水疱瘡 うつる 赤ちゃんや未罹患の家族という構図は、臨床現場で実際に多発しています。
帯状疱疹の患者の皮膚にできた水ぶくれの中には、大量の生きた水痘帯状疱疹ウイルスが含まれています。そのため、水疱瘡にかかったことがない生後数ヶ月の乳幼児や、妊娠中で抗体を持たない女性がその水疱液に直接触れると、「帯状疱疹」ではなく「水疱瘡」として発症してしまいます。水ぶくれがすべて完全に乾いて「かさぶた(痂皮化)」になるまでは、水痘未罹患の乳幼児や妊婦との接触、タオル等の共用、一緒の入浴は厳重に避けなければなりません。
なお、感染力そのものの広がり方にも決定的な違いがあります。水疱瘡はウイルスが気道粘膜からも排出されるため、空気感染(飛沫核感染)によって同じ空間にいるだけで感染が拡大します。一方、通常の帯状疱疹は空気感染せず、水疱液との直接接触による接触感染に限られます(※ただし重篤な播種性帯状疱疹を除く)。
日本国内では、2014年10月から水疱瘡 予防接種 定期接種(生後12〜36ヶ月未満を対象とした2回接種)が導入されました。これにより小児の水疱瘡患者数は導入前の約2割以下へと激減しました。しかし皮肉なことに、社会全体で子どもの水疱瘡が激減した結果、大人が日常生活の中でウイルスに曝露されて免疫を再強化する「ブースター効果」が得られにくくなり、大人の帯状疱疹発症率を押し上げる構造的要因となっています。