彼らの代名詞といえば、やはり白塗りの芸者姿で登場する一連のシリーズだろう。居酒屋や楽屋の片隅で、ただただ無駄話を続ける二人の芸者。そこには明確なツッコミが存在しない。お互いにボケ合い、時に噛み合わない会話をそのまま放置し、観客をじわじわと異次元へ引きずり込んでいく。
柄本明が演じる芸者は、どこか品がありながらも、ふとした瞬間にゾッとするような狂気をのぞかせる。対する志村けんは、その狂気をいなすようでいて、自らもさらに深い泥沼へと足を踏み入れていく。この絶妙なバランスこそが、単なる「お笑い」の枠を超え、演劇的な深みへと昇華させていた要因だ。