かつて平成の時代、理容室(床屋)には「年配男性が通う場所」「角刈りやスポーツ刈りにされてしまう」というステレオタイプが根強く付きまとっていました。男性ファッション誌がこぞって「モテ髪=美容室」と喧伝した影響もあり、若年層の理容離れが進んだ歴史があります。しかし、現代においてこの認識を持ち続けることは、完全な時代遅れと言わざるを得ません。
この認識を一変させたのが、2010年代半ばから欧米カルチャーの逆輸入として爆発的なムーブメントとなったバーバーブームと、技術革新を伴ったフェードカット理容室の隆盛です。刈り上げの極致であるスキンフェードや、サイドパートクラシックといった硬派なスタイルは、卓越したクリッパーワークと直刃カミソリの技術を必須とします。美容室では法的な制約やハサミ中心のカリキュラムゆえに再現が困難だったこれらのスタイルが、感度の高いビジネスマンや20代〜40代の男性たちに「男らしさと清潔感を両立できる究極の身だしなみ」として再定義されました。
また、ネット上のレビューサイトに潜むバイアスにも注意を払う必要があります。「星1」の低評価が付けられている店舗の背景を精査すると、接客や技術そのものよりも「予約したのに前の客が押して15分待たされた」「会話が最小限で無愛想に感じた」といった、職人気質の店舗と過剰なサービスを求める利用者のミスマッチが目立ちます。口数が少なくても職人技に秀でた近くの床屋こそが、通い詰める常連から絶大なメンズカット評判を獲得している事実は、ネットの数値だけでは見落とされがちな真実です。