「ボタンダウンの半袖シャツなら襟元が崩れないから、ネクタイを締めても良いのではないか」という意見がネット掲示板などで散見されますが、これは服飾マナーにおける典型的な誤認です。
そもそもボタンダウンシャツ自体が、ポロ競技のユニフォームから派生したカジュアルルーツのシャツです。アメリカントラディショナル(アイビースタイル)において長袖ボタンダウンにレジメンタルタイを合わせる着こなしは定着していますが、これに「半袖」というカジュアル要素が重なると、フォーマル度はさらに低下します。
ボタンダウン半袖シャツの正しい活用法は、ネクタイを外した「ノータイ専用シャツ」としての着用です。襟先がボタンで留められているため、ネクタイを締めなくても襟が左右にペタッと倒れず、清潔感のある立体的なVゾーンを維持できます。
また、「ジャケットを羽織ってしまえば半袖シャツにネクタイでもバレない」という考えも危険です。スーツの美学において、ジャケットの袖口から長袖シャツのカフスが1.0〜1.5cmほど覗いている状態が正しい着こなしとされています。半袖シャツの上にジャケットを羽織ると手首から肌が直接露出するだけでなく、皮脂や汗が直接ジャケットの裏地に付着して生地を傷める原因になります。