ネット上には「ピアス穴を復活させる裏技」として、科学的根拠を欠いた危険な民間療法が多数出回っています。その最たるものが、「ピアッサーを使って同じ穴の上から強引に打ち直す」という行為です。
閉塞しかけて線維化を起こした耳たぶ組織は、正常な皮膚よりも弾力性を失って硬化しています。その硬い組織に向かって家庭用ピアッサーのスプリング圧力でポストを射出すると、針が途中でスタックして皮膚を挟み込んだまま停止したり、斜めに逸れて組織を広範囲に挫滅させる惨事につながります。ピアッサーは「健康で均一な皮膚」に穴を開ける前提で設計されており、硬化した瘢痕組織への再打ち込みには全く適していません。
もう一つの深刻な誤解は、「消毒液の過剰使用」です。穴を通そうとして傷ついた耳たぶに対し、市販の消毒薬を毎日何度もスプレーする行為は、2026年現在の創傷治癒理論において明確に否定されています。消毒成分は患部に侵入した細菌だけでなく、傷を修復しようと集まってきた正常な細胞(線維芽細胞や新生上皮)まで無差別に攻撃・破壊します。その結果、組織の修復が大幅に遅延し、慢性的な炎症と肉芽の肥大化を自ら招く結果となるのです。