激しい咳の末に、胃の中の未消化物や粘液を大量に吐き出してしまう光景は、親にとって非常にショックが大きいものです。しかし、病状の急激な悪化ではなく、小児解剖学上の特徴によって引き起こされるケースが大半を占めます。
子供が夜咳き込んで吐く理由は主に2点あります。1つ目は、子供の胃の形状が大人に比べて縦長(徳利型)で噴門部(胃の入り口)の括約筋が未熟なため、激しい咳によって強い腹圧がかかった瞬間に胃内容物が逆流しやすいことです。2つ目は、喉の奥にへばりついた粘り気のある痰を排出しようとする強い咳反射が、舌根部や咽頭後壁を刺激して嘔吐反射(オエッとなる反射)を誘発するためです。
深夜に嘔吐が発生した場合、保護者は慌てず以下のステップで処置を進めてください。
- 気道確保(最優先):子供を直ちに横向き(側臥位)またはうつ伏せ気味にし、吐瀉物が気管に詰まる誤嚥(ごえん)を防ぎます。背中をトントンと優しく叩き、口の中に残った固形物を指やガーゼで速やかに掻き出します。
- 呼吸と意識の確認:吐き終えた後、顔色が戻っているか、呼吸がスムーズに行われているかを確認します。吐いた後にスッキリして呼吸が落ち着く場合は、過度な心配はいりません。
- 速やかな更衣と寝具交換:吐瀉物の臭い自体が二重の嘔吐反射を引き起こすため、汚れた衣服やシーツは速やかに取り替えます。
- 水分補給のインターバル:吐いた直後は胃粘膜が極めて過敏になっています。喉が渇いたと訴えてもすぐに大量の水分を与えてはなりません。最低20〜30分間は胃を休ませ、落ち着いた段階で常温の経口補水液や湯冷ましをスプーン1杯(約5ml)から慎重に与えてください。