ネット上のセルフケア情報の中には、構造的リスクを無視した危険な言説も散見されます。最も警戒すべきは、小胸筋 烏口突起 痛みを「効いている証拠」と誤認して強い指圧や強引なストレッチを継続してしまうケースです。
烏口突起は、小胸筋のほかにも烏口腕筋や上腕二頭筋短頭が付着するデリケートな骨性隆起です。骨膜は非常に敏感であり、強い力でグリグリと押し込んだり、テニスボールの上で体重を過剰にかけたりすると、腱炎や滑液包炎を引き起こす恐れがあります。また、突起のすぐ内側には腕神経叢が通っているため、過度な圧迫は神経痛を悪化させる引き金になります。
もう一つの盲点は、「ストレッチだけで巻き肩を治そうとする」姿勢です。小胸筋を緩めることは肩甲骨の可動性を取り戻す第一歩ですが、それだけでは元の猫背に引き戻されます。伸ばした後は、肩甲骨を下制・内転させる「僧帽筋下部線維」や「前鋸筋」を正しく協調収縮させるエクササイズを行わなければ、運動学習として脳に正しいアライメントが定着しません。