2008年放送の『篤姫』が発表された当時、芸能界やテレビドラマ評論界には少なからず懸念の声がありました。大河ドラマの主役は重厚なベテラン俳優が担うのが定石とされていた時代に、放送開始時22歳1ヶ月7日という大河ドラマ史上最年少の宮崎あおいが抜擢されたためです。前作『風林火山』などの硬派な武将劇に慣れ親しんだ従来の男性視聴者層からは、「幕末の重厚な政治劇を20代前半の若手女優が背負いきれるのか」という慎重論も囁かれました。
しかし蓋を開けてみれば、その疑念は初回から鮮やかに覆されることになります。薩摩の伸びやかな少女「於一(おかつ)」から、島津本家の養女「篤子」、そして江戸幕府第13代将軍・徳川家定の正室「御台所」、落飾して「天璋院」となり大奥の主として江戸城無血開城を支えるまで、実に半世紀にわたる波乱の生涯を驚異的な説得力で演じ切りました。
数字の面でも『篤姫』は驚異的な記録を打ち立てています。ビデオリサーチの調査(関東地区)によると、全50回の期間平均視聴率は24.5%、第48回「無血開城」では最高視聴率29.2%を記録しました。21世紀に放送された大河ドラマの中でも屈指のハイアベレージを誇り、鹿児島県をはじめとするロケ地への観光経済効果や関連書籍のベストセラーなど、日本全国に莫大な波及効果をもたらしたのです。