ネット上の検索ボリューム上位に常に挙がるのが「完結理由」に関する噂です。人気絶頂期にあってテレビアニメ第2期や実写映画化が立て続けに展開されるなか、2018年に週刊少年ジャンプでの連載が幕を閉じたため、「編集部との間で何かトラブルがあったのではないか」「作家が精神的・肉体的に力尽きたのではないか」といった根拠のない憶測が飛び交った時期がありました。
しかし、関係者の証言や当時の誌面展開を緻密に検証すると、その真相は極めて健全な「プロとしての描き切りによる円満完結」であることが分かります。『ぼくのわたしの勇者学』で鮮烈なデビューを飾り、徹底したキャラクター主導のナンセンスギャグを磨き上げてきた麻生氏は、主人公・斉木楠雄の日常と超能力という特殊なギミックについて、「引き延ばしによってクオリティを落とすことなく、物語として最も美しい地点で完結させる」という明確なビジョンを持っていました。
週刊連載という極度の過密労働において、ギャグ漫画家にかかる認知的負荷はストーリー漫画家以上と言われます。1話を数分で読ませるテンポと緻密なプロット、全コマに配されたボケとツッコミの推敲は、常人離れした精神力を要求します。麻生氏は斉木の卒業という大きな節目と登場人物たちの関係性の着地点を責任もって描き切った後、すぐに『ジャンプGIGA』での4コマ漫画版短期連載へ移行。集英社との関係性を崩すことなく、作品を完璧なフィナーレへと導いたのです。