ネット上の情報や営業トークを鵜呑みにしていると、取り返しのつかない錯覚に陥ります。2026年の自動車流通市場におけるファクトに基づき、広まっている誤解を是正します。
誤解①:「残クレは下取り価格を保証してくれる安全な保険である」
これは最も罪深い誤解です。販売店が提示する「買取保証」の文言には、必ず米粒のような注記で「※ただし車両状態が規定範囲内の場合に限る」と記されています。日本自動車査定協会の定める減点基準において、1点のマイナスは約1,000円〜1,500円の精算金に直結します。ボディの擦り傷や飛び石傷、タイヤの摩耗など、3〜5年間日常使いしていれば不可避な経年変化のすべてが、契約満了時に「借金」として請求されるリスクを孕んでいます。
誤解②:「値崩れしにくい人気車種の中古なら残クレでも損しない」
2026年現在の市場環境において、この神話は崩壊しつつあります。世界的な電動化路線の見直しや、各メーカーによるガソリン・ハイブリッド復権の過渡期において、特定車種の中古車相場は数年前の急騰期から一転し、大きなボラティリティに晒されています。かつてリセールバリューが高いとされたSUVやミニバンであっても、マイナーチェンジや新技術の投入によって中古相場が急落すれば、オープンエンド契約の残クレユーザーは数十万円規模の相場下落差額を一撃で請求されることになります。
誤解③:「最終的に買い取れば残価設定のデメリットは帳消しになる」
「返すから損をするのであって、最後に残価を払って自分の車にしてしまえば問題ない」という反論も散見されます。しかし、これは単なる計算放棄です。前述の試算表の通り、中古車の高金利で5年間据え置かれた残価には、膨大な利息がすでに上乗せされています。さらにその残価を一括で支払えずに「再分割ローン(再クレジット)」を組んだ場合、中古車の再ローン金利は年利8〜12%近くに跳ね上がるのが通例です。結果として、300万円の中古車に対して通算で450万円以上を支払うという、典型的な多重債務構造に陥るのです。