下積み時代を経て、宇野祥平の名を日本中に知らしめた決定打が、2020年公開の映画『罪の声』における生島聡一郎役です。昭和最大の未解決事件をモチーフにした同作で、幼少期に脅迫テープの声として利用され、人生を狂わされた男の悲哀と絶望を体現しました。
この役を演じるにあたり、宇野は撮影期間中に10キロを超える過酷な減量を敢行。頬は削げ落ち、肋骨が浮き出るほどに衰弱した肉体でカメラの前に現れた瞬間、主演の小栗旬や星野源をはじめとする撮影クルー全員が息を呑んだと伝えられています。単なる外面的なダイエットではなく、「過酷な人生を生き延びてきた人間の匂い」を骨の髄から滲ませるその演技は、まさに怪演と呼ぶにふさわしい衝撃を与えました。
この渾身の演技により、宇野祥平は第44回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞したほか、第94回キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞、第63回ブルーリボン賞助演男優賞など、その年の名だたる映画賞を総なめにしました。選考委員からも「彼の登場によって映画全体のリアリティラインが劇的に引き上げられた」と絶賛され、名実ともに日本最高峰の実力派バイプレイヤーとしての地位を確立しました。