ポケモンのビジュアル表現を語るうえで、公式アートディレクターである杉森建氏の功績を避けて通ることはできない。初期の作品群で見せた水彩画調の柔らかさと、どこか凛とした佇まいを同居させるタッチは、すべてのポケモンの「骨格」を作り上げた。洗練されたシルエットと無駄のない線画構成は、後続のあらゆるイラストレーターにとっての道標であり続けている。
その世界観に圧倒的な立体感とドラマ性を吹き込んだのが、TCG黎明期から第一線で筆を振るう有田満弘氏だ。第一弾の「リザードン」に代表されるように、モンスターの筋肉の躍動、皮膚の質感、そして画面奥へと広がる空間の深度を油彩のような重厚さで描くスタイルは圧巻だ。任天堂や株式会社ゲームフリークが創り出した架空の生命体に、実在する生き物としてのリアリティと息遣いを与える技法は、まさに公式ビジュアルの歴史的財産と言える。