筋損傷が発生した直後の数十分〜数時間の対応が、その後の回復スピードを大きく左右します。長年、急性外傷の基本として知られてきたのが筋損傷の応急処置とRICE処置です。
- Rest(安静):患部の動きを止め、さらなる筋線維の断裂を防ぐ。
- Ice(冷却):氷嚢などで15〜20分患部を冷やし、内出血や炎症の拡大を抑える。
- Compression(圧迫):弾性包帯などで適度に圧迫し、血腫の形成を最小限に留める。
- Elevation(挙上):患部を心臓より高い位置に保ち、内圧を下げて腫脹を軽減する。
一方で、スポーツ医学の進歩に伴い、過度なアイシングや長期の完全安静が組織再生を遅らせる可能性が指摘され、近年では「PEACE & LOVE」という包括的な新概念が提唱されています。受傷直後(急性期)は組織保護(Protect)、挙上(Elevate)、抗炎症薬の慎重な使用(Avoid anti-inflammatory modalities)、圧迫(Compress)、教育(Educate)を行う「PEACE」を徹底し、数日経過した亜急性期以降は、適度な負荷(Load)、楽観的思考(Optimism)、血流改善(Vascularisation)、運動(Exercise)を取り入れる「LOVE」へと移行するアプローチが推奨されています。
特に重要なのは、受傷直後に温めたり、強いマッサージを行ったりしないことです。血流が急激に増加すると損傷した血管からの出血が止まらなくなり、血腫が巨大化して組織の柔軟性を奪う要因となります。