「小児科は何歳まで通える?」「高校生や大人は内科に行くべき?」という日常的な迷いに対し、日本小児科学会が打ち出している公式な指針は、多くの親世代にとって意外な内容かもしれません。同学会が公表した提言「小児科専門医が診る患者の年齢について」において、小児科が対象とする患者は「小児期から成人への移行期、すなわちおおむね20歳前後まで」と明記されているためです。
法的な観点からも、医療法における診療科名として「小児科」を受診できる年齢に厳格な上限規定は設けられていません。医師免許を持つ医師であれば、法律上は何歳の患者を診察しても違法ではないのが現実です。それにもかかわらず、なぜ世間では「15歳=中学校卒業」が境界線のように扱われているのでしょうか。
背景には、成育基本法(成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律)の存在があります。医療技術の進歩に伴い、かつては成人を迎えることが難しかった小児慢性疾患を持つ子どもたちが成人期を迎えるケースが急増しました。これに伴い、小児科医の役割は「単なる子どもの風邪薬出し」から、「新生児から青年の自立に至る総合的な成育医療の担い手」へと進化しています。つまり、学会の理念としては小児科 成人 20歳までの診療が当然の視野に入っているのです。