「福祉は不況に強い」「未経験でもFCに加盟すれば安心」といったネット上の謳い文句には、初心者を惑わす重大な盲点が潜んでいます。新規参入者が直面する開業の失敗理由を整理すると、以下の3点に集約されます。
第一の落とし穴は「サービス管理責任者(サビ管)」の採用難と突然の離職リスクです。
B型事業所の指定基準を満たすためには、一定の実務経験と研修修了要件を満たしたサビ管の配置が法令上必須となります。現在、サビ管は福祉業界全体で激しい争奪戦が起きており、採用市場での相場年収は450万〜550万円以上へ高騰しています。仮に採用できたとしても、経営者の露骨な利益至上主義に嫌気が差してサビ管が突如退職した場合、猶予期間内に後任を見つけられなければ「人員配置基準違反」となり、給付費が最大30〜50%減算、最悪の場合は指定取消(営業停止)処分が下されます。サビ管1人の離職で倒産に追い込まれる事業所が後を絶ちません。
第二の落とし穴は「過剰供給によるレッドオーシャン化」と集客の挫折です。
参入障壁が比較的低かったため、都市部を中心に事業所数が急増しました。需要に対して供給が飽和し、利用者の獲得競争が激化しています。「物件を借りて看板を出せば、行政が利用者を斡旋してくれる」と思い込んでいた素人経営者は、開業後半年経っても定員の半分も埋まらず、毎月数十万円の人件費と家賃の赤字を垂れ流し続けることになります。
第三の落とし穴は「生産活動の仕事開拓ができない」構造的不全です。
前述の通り、今の制度では工賃実績が給付費単価に跳ね返ります。しかし、営業力のない事業所が引き受けられる仕事といえば、単価数銭〜数十銭の内職作業しかありません。これではどれだけ利用者が汗を流しても月額工賃は数千円にとどまり、基本報酬は最低区分へ転落します。魅力的な工賃を出せない事業所には利用者が集まらないという負のスパイラルから抜け出せなくなるのです。