今年、香港と日本の共同研究チームが立ち上げた「バーチャル九龍城プロジェクト」が話題を集めている。当時の写真や間取り図、そして生存する元住民の証言を基に、メタバース空間上に城砦を完全再現する試みだ。VRゴーグルを装着すれば、あの湿った空気や、無数の室外機が放つ熱気まで伝わってくるかのような錯覚に陥る。
だが、技術的な再現が進む一方で、課題もある。外見的なサイバーパンクの格好良さだけが強調され、そこで生きていた人々の泥臭い生活の息遣いが書き換えられてしまうのではないかという懸念だ。プロジェクトチームは、単なる観光アトラクションではなく、歴史の証言としての精度を追求している。