日本の重要政策や安全保障戦略の転換、先端半導体をめぐる産業方針が更新される局面において、中国と韓国の反応はときに鋭く対立し、ときに全く異なる温度差を見せます。この分岐を生み出す最大の要因は、国家がメディアとネット言論をコントロールする構造の差異にあります。
中国の現地メディア報道を俯瞰すると、国営新華社通信やCCTV(中国中央テレビ)、共産党機関紙系の「環球時報」などが論調のトーンを厳格に規定しています。公式発表に沿った社説では「地域の軍事的緊張を高める一方的な試み」といった定型的な対日批判が展開され、外交的な緊張感が高まる局面ではあえて強い表現が選ばれます。しかし、民間経済やサプライチェーンの維持に関わる実務面では、日本企業への投資呼びかけを並行して行うなど、プラグマティックな使い分けが目立ちます。
一方、韓国の現地メディア報道は、保守系(朝鮮日報、東亜日報など)と進歩・革新系(ハンギョレ、京郷新聞など)で評価が真っ二つに割れる構造が定着しています。保守メディアが「韓米日連携による安全保障体制の強化と先端産業での実利」を肯定的に評価するのに対し、進歩系メディアは「過去の歴史問題への反省なき協調」「主権の毀損」と厳しく糾弾します。メディアの論調そのものが、韓国国内の激しい政治闘争の延長線上に位置づけられているのが実態です。
ネットの反応に目を向けると、この差異はさらに鮮明になります。中国の言論空間であるウェイボー(微博)では、当局の検閲アルゴリズムと「流量(トラフィック)」目当ての愛国インフルエンサーによって感情的な批判が増幅されやすい一方、検閲をすり抜ける個人のアカウントからは「日本の技術力や都市管理の成熟度には学ぶべき点が多い」といった冷静な書き込みが数万件単位で支持を集める現象が見られます。
それに対し、韓国掲示板の反応(DCインサイド、FMコリア、theqooなど)では、極端な罵倒合戦と冷徹な現実主義が同居しています。「歴史問題は別だが、日本のサブカルチャーや生活水準の高さは認めざるを得ない」「自国の政治家が反日を政争の具に利用していることにうんざりしている」といった若年層の生々しい書き込みが目立ち、上意下達の中国とは対照的な混沌とした世論が形成されています。