狗巻棘の物語を語る上で欠かせないのが、前日譚『呪術廻戦 0』から続く乙骨憂太との深い絆です。
呪言によって周囲を傷つけることを恐れ、孤立しがちだった狗巻の境遇は、かつて特級過呪怨霊・祈本里香に憑りつかれて他者を遠ざけていた乙骨と完全に重なるものでした。初任務を共に乗り越えた二人は互いの痛みを理解し、言葉を超えた固い信頼関係を築き上げました。
この絆は、物語のクライマックスである「人外魔境新宿決戦」で決定的な成果を生み出します。前線に出られない狗巻は、自らの声を事前にテープレコーダーへ録音。宿儺との極限の死闘において、乙骨がその録音を再生することで、宿儺に対し「動くな」の呪言を叩き込むアシストを成功させました。
格上である宿儺に呪言を当てたことで狗巻自身も激しい吐血を伴うダメージを負いましたが、この一瞬の拘束が勝負の潮目を大きく手繰り寄せる決定打となりました。腕を失ってもなお、呪術師としての矜持を貫き通した名シーンです。