SNSや住まい系掲示板で頻繁に見かける「無印良品をカウンター下に置こうとしたら入らなかった」という悲痛な声。取材を進めると、この失敗には住宅構造上の明確な共通点が存在します。多くの生活者が「床からカウンター天板下までの高さ」と「壁から天板の先端までの奥行き」という単純な直角空間を想定して採寸しています。しかし、実際の建築現場には家具の設置を阻む3つの物理的障害物が隠れています。
第1の障害は、壁最下部にある「幅木(はばき)」の存在です。一般的な住宅では高さ6cm〜10cm、厚み約0.9cm〜1.2cmの幅木が施工されています。壁面にぴったり家具を寄せる設計が施されていない製品の場合、この1cmの隙間によって家具全体が手前に押し出され、カウンター天板のラインから収納が不自然に飛び出してしまいます。
第2の障害は、カウンター天板下側の「補強幕板や受金具」、そして天板の「せり出し(チリ)」です。天板の外寸の高さが85cmであっても、補強桟が2cmあれば実質的な有効内寸は83cmまで縮小します。この差を考慮せずに高さ81.5cmの棚を設計通りのつもりで購入すると、搬入時に物理的クリアランスが不足し、天板下に収まらない事態に陥ります。
第3の障害が、カウンター下の壁面に高頻度で設置されている「コンセントプレート」です。配線プラグを差し込むための奥行きとして最低でも約5cmの余白が必要となるため、コンセントを覆い隠してしまうと、スマホの充電や小型家電の給電ルートを塞ぐ結果になります。「メジャーで測った数値通り」に家具を選んではいけない理由がここにあります。