ネット上の口コミサイトやSNSでの評判を精査すると、地元民の熱烈な支持と一部の観光客の評価との間に、興味深い意識のギャップが見受けられます。
十文字中華そばを初めて食べた観光客の一部から、「想像以上にあっさりしていて味が薄く感じた」「ラーメンというより和風そばに近い」といった声が上がることがあります。現代の濃厚豚骨魚介や背脂系ラーメンの強い塩分・脂分に慣れていると、初めの一口で拍子抜けしてしまうケースがあるためです。
しかし、地元民が絶賛する理由はまさにその「引き算の美学」にあります。化学調味料に過度に頼らず、焼き干しの自然な甘みと醤油の香りで飲ませるスープは、毎日食べても飽きが来ず、最後の一滴まで飲み干した後に喉の渇きを感じさせません。卓上の胡椒や酢を少量加えることで、魚介の輪郭がさらに鮮明に引き立つという食べ方も、地元通の間で共有されている知恵です。
一方で、濃厚な味を好む若年層やガッツリ系を求める層に向けては、市内郊外のバイパス沿いを中心に煮干しを限界まで炊き込んだセメント系スープや、背脂が浮かぶ進化系ラーメン店が確固たる支持基盤を築いています。横手のラーメンシーンは、ノスタルジーだけでなく多様なニーズに応える懐の深さを備えています。