健診受診者の間で最も頻繁に聞かれるのが、「体調は万全で熱も咳もないのに、好酸球の項目でD判定(要再検査・精密検査)を食らった」という困惑の声です。医療現場やSNSの相談コミュニティを検証すると、多くの受診者がこの「自覚症状の無さ」と「判定結果のギャップ」に強いストレスを感じています。
都内の呼吸器アレルギー内科医は、現場の実情についてこう証言します。
「好酸球は、血管内を流れている時よりも、特定の標的組織(気道粘膜、鼻粘膜、消化管、皮膚など)に入り込んで炎症性タンパク質(ECPやMBP)を放出した時に初めて局所症状を生じさせる性質があります。そのため、血中好酸球数が1,000/μL近くまで上昇していても、組織への大規模な浸潤が始まっていなければ、本人はいたって健康に感じることが珍しくありません」
実際に知恵袋や健康相談掲示板などに寄せられる実例を見ても、以下のような経緯を辿るケースが典型です。
- 「春先に健診を受けたら好酸球が9%で引っかかった。自覚症状は軽い花粉症の鼻詰まり程度だったが、再検査でアレルギー検査(View39等)を受け、スギやハウスダストへの明確な感作が判明した」
- 「喉のつかえ感を単なる逆流性食道炎だと思い込み放置していたところ、好酸球高値を契機に胃カメラ検査を受け、食道に縦走溝(白いスジ)が見つかり好酸球性食道炎と確定診断された」
- 「以前から喘息があったが、血液検査で好酸球が25%を超え、足の裏のピリピリ感を放置した結果、EGPAと診断されて即座に入院加療となった」
「痛くも痒くもないから大丈夫」という主観的な判断は、好酸球性疾患においては最も危険な誤謬です。血液中の数値は、身体の中でくすぶり始めた炎症を自覚症状より一歩早く警告してくれているセンサーであると理解する必要があります。