インターネット上の言説の中には、「ディズニー映画は所詮お約束のハッピーエンドで毒がない」「大人が観るには単純すぎる」といったステレオタイプな論評が散見されます。しかし、これは実態を見誤った大きな誤解です。
90年代のディズニー・ルネサンス期以降、スタジオは一貫して旧態依然としたプリンセス像や善悪二元論を解体し続けてきました。2013年の『アナと雪の女王』では「真実の愛」が異性間のロマンスではなく姉妹の絆として再定義され、『マレフィセント』や『クルエラ』といったヴィラン(悪役)主役の実写映画では、悪に走らざるを得なかった社会的背景や内面的な葛藤がダークなトーンで描かれています。
さらに、1940年の『ファンタジア』に見られる前衛的なアニメーション表現や、『ノートルダムの鐘』で扱われた宗教的偽善・差別意識など、ディズニーは常にその時代のタブーや高度なテーマに挑み続けてきました。表面的な華やかさの奥にある、人間の業や社会の不条理をえぐる鋭い視線を見落としてはなりません。