金八先生での鮮烈な印象から10年以上の歳月を経て、再び日本中を戦慄させたのが、2011年放送のフジテレビ系ドラマ『それでも、生きてゆく』(脚本・坂元裕二)です。風間が演じたのは、14歳の夏に友人の妹を殺害した少年Aこと雨宮健二(三崎文哉)。出所後も更生することなく、自らの罪と向き合えないまま歪んだ衝動を抱え続けるという、極めて重くデリケートな難役でした。
この作品において風間が見せた芝居は、過剰な怒鳴り声や分かりやすい暴力描写に頼るものではありませんでした。感情が完全に欠落したかのような虚ろな眼差し、日常会話の中に突如として混ざり込む無機質なトーン、そして相手の痛みに一切共鳴しない冷徹な間合い。心理学において「反社会性パーソナリティ障害」が示す特有の心理的解離を、憑依したかのような精密さで表現してみせたのです。
当時のドラマ関係者は取材に対し、「坂元裕二さんの緻密極まる台詞の奥にある『沈黙の重さ』を、風間さんは完璧に具現化していた。カメラが回っていない瞬間ですら現場に異様な緊張感が漂っていた」と証言しています。この怪演によって彼は第70回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞を獲得。「普通の人の顔をした怪物が最も恐ろしい」という事実を、これ以上ない説得力で提示したこの役柄によって、実力派サスペンスを担うピースとして業界内の評価を盤石なものとしました。