一歩足を踏み入れると、海水の独特な香りが鼻腔をくすぐる。施設内には巨大なイケスのようなポンドが複数区画に分かれて配置されている。驚くべきは、外房の荒波が打ち寄せる太平洋から直接海水を汲み上げ、絶え間なく循環させている点だ。生け簀の水質は常にクリアに保たれ、底付近でギラリと反転する魚の魚影が時折視界をよぎる。
船に乗る必要がないため、足腰に不安のある高齢者や小さな子ども連れでも転落の危険が極めて少ない。しかし、コンクリートで固められた護岸だからといって侮れば、痛い目を見る。ひとたびフッキングが決まれば、魚は本能のままに障害物や底のネットへ突進する。海そのものを陸地に切り取ってきたかのようなダイナミズムが、長靴を履いた足元からダイレクトに伝わってくる。