「親の七光り」というレッテルは、当事者にとって諸刃の剣だ。ある気鋭の映画監督は、二世俳優特有の資質について次のように語る。「幼少期から一流の表現や現場の空気に触れて育った人間には、技術を超えた独特の佇まいや勘の良さがある。これはオーディションで何百人見ても得られない天性の感覚だ」。
だが、その一方で、現場の叩き上げ俳優たちとの間に横たわる溝は深い。何十回ものオーディションに落ち続け、アルバイトで食いつなぎながら端役を掴み取る無名の実力派たちからすれば、名前だけで主役級に抜擢される二世たちの存在は、不条理そのものに映る。カメラが回っていない控え室で漂う張り詰めた緊張感は、時に作品のクオリティすら左右する火種となる。