人々の死生観の変化は、映像メディアの描写にも色濃く反映されている。かつての昭和の映画やドラマにおいて、火葬場の煙突から立ち上る煙は「死」「別れ」「孤独」を象徴する陰鬱なメタファーとして繰り返し使われてきた。
しかし、アカデミー賞を受賞した映画『おくりびと』では、火葬炉の点火ボタンを静かに押す火葬技師の佇まいと、現代的な炉前空間の清潔で厳かな時間が描かれ、人々に強い感銘を与えた。煙や灰を見せないクリーンな別れの儀式が、死者の尊厳を保つ行為として定着した証左である。
また、NHKのドキュメンタリー番組などでも、多死社会を迎えた日本の火葬現場を支える最新技術や、誇りを持って働く現場職員の姿が度々特集されている。煙突が見えなくなったことで、火葬は「隠蔽された不浄」から「科学と礼節によって支えられた社会基盤」へと、市民の意識のなかで着実に再定義された。