「膝の上に乗ってくるのは、自分を親のように慕っているからだ」と考える飼い主は多いはずです。もちろん、幼猫気分が抜けないことによる愛着行動はその大きな一因ですが、ペット保険大手アイペット損保や飼育メディアの専門家調査によると、猫の行動原理はより打算的かつ合理的な動機に支えられています。
動物行動学の視点から紐解くと、猫が膝に乗る理由は主に以下の5つの要素に大別されます。
第一に挙げられるのが猫の体温調節です。猫の平均体温は約38〜39度と人間より高く、寒さに極めて敏感な動物です。人間の太ももには大腿動脈という太い血管が通っており、座った状態の膝は「適度な弾力と安定した温もりを備えた天然のホットカーペット」として機能します。室温が下がる秋冬や、初春の冷え込み時に膝乗りの頻度が急増するのは、生存本能に基づく熱源確保の側面が強いといえます。
第二の理由は、縄張りと所有権の主張です。猫の臀部やあご下、肉球にはフェロモンを分泌する臭腺が存在します。飼い主の膝に体を密着させ、毛繕いをしたり擦り寄ったりする行為は、「この人間は自分の安全圏(テリトリー)である」という匂い付け(マーキング)を意味します。
第三に、猫の信頼度サインとしての「安全基地(セキュア・ベース)」の確認です。人間が座っている状態は、猫にとって「急に立ち上がって追いかけてこない安全な状態」と認識されます。無防備になる休息の場として飼い主の膝を選ぶ行為は、家庭内における絶対的な安心感を体現している証拠です。