検索窓に「飯塚花火大会」と打ち込むと、サジェストに「中止 理由」という不穏なワードが浮上します。なぜ地域に愛される伝統行事に対して中止の噂が根強く囁かれたのか、報道各社の取材データや業界関係者へのヒアリングから、その裏にある3つの構造的な要因が浮かび上がってきました。
第1の要因は、全国的に社会問題化している雑踏警備基準の厳格化と人件費の高騰です。明石歩道橋事故以降、大規模イベントに対する警察行政の指導は年々厳格化していましたが、近年の国内外での雑踏事故を受けて、警備員の配置基準が大幅に引き上げられました。従来のボランティア中心の誘導では許可が下りず、プロの警備会社への委託費用が従来の約1.5倍から2倍に跳ね上がったことが、地方財政や協賛企業に重い負担としてのしかかりました。
第2の要因は、筑豊地域の産業構造の変化に伴う企業協賛金の減少と物価高です。花火の火薬代、打ち上げ台船の維持費、仮設トイレやフェンスのリース代が軒並み高騰する一方、地方経済の縮小によって地元企業からの協賛集めは年々難航。一時期は「従来の無料開放型モデルでは赤字が避けられず、継続開催は不可能ではないか」と実行委員会内部で存続の危機が深刻に議論された時期がありました。
第3の要因は、遠賀川河川敷の環境保全と安全管理リスクです。夏の台風シーズンにおける河川増水の危険性に加え、打ち上げ後のゴミの不法投棄や私有地への無断駐車が近隣住民との間で大きな摩擦を生んでいました。こうした多重の課題をクリアするため、一時的な開催休止や運営方針の大転換が検討されたプロセスが、インターネット上で「飯塚花火大会の中止決定」という歪んだ噂となって拡散してしまったのが真相です。