橋本聖子氏の現役時代の実績を振り返ると、その数字の凄まじさに改めて圧倒されます。北海道早来町(現・安平町)の大自然の中で育った彼女は、駒澤大学附属苫小牧高校時代から頭角を現し、瞬く間に日本女子スピードスケート界のエースへと登り詰めました。
最大のハイライトは、1992年アルベールビル五輪の銅メダル獲得です。女子1500mにおいて2分05秒97のタイムを叩き出し、日本女子スピードスケート選手として史上初となる冬季五輪の表彰台に立ちました。当時のインタビューで本人が「自分の滑りだけに集中し、1本のラインを研ぎ澄ますことだけを考えた」と振り返った通り、極限のプレッシャー下で掴み取ったメダルでした。4年前の1988年カルガリー五輪では、出場した全5種目(500m、1000m、1500m、3000m、5000m)すべてで入賞を果たす快挙も成し遂げています。
特筆すべきは、冬季のスピードスケートだけでなく、夏季の自転車競技(トラックレース)でも世界基準のトップアスリートであった事実です。氷上での下半身強化のために始めた自転車トレーニングが実を結び、1988年ソウル五輪、1992年バルセロナ五輪、1996年アトランタ五輪の夏季3大会に出場しました。冬夏合わせて通算7回の五輪出場という金字塔は、日本人選手として歴代最多タイ記録であり、世界の女子アスリートを見渡しても屈指の偉業です。