手軽さが強調されるあまり、「霧タイプなら何もしないでボタンを押すだけでいい」という誤解が広まっています。しかし、事前の配慮を怠ると思わぬトラブルや家財の破損を招くリスクが潜んでいます。
第一の盲点は、「火災報知器は鳴らなくても、ガス漏れ警報器が鳴る場合がある」という点です。前述の通り、ノンスモーク霧タイプはエアゾール噴射用として可燃性ガスを含んでいます。キッチンや給湯器周辺に設置されたガス警報器、あるいは火災・ガス複合型警報器の直近で噴射すると、警報ブザーが鳴動する危険性があります。付属のカバーによる養生を省略してはなりません。
第二の盲点は、精密機械への直接噴射です。煙タイプのようなすす(煤)は発生しませんが、霧タイプの微細な液滴がパソコンの吸気ファンやテレビの内部基盤に直接降り注ぐと、ホコリと混ざり合ってショートや故障の原因になる恐れがあります。ノートPCやタブレット、ゲーム機などの精密機器には、新聞紙やビニールシートを1枚掛けておくだけで十分な防護が可能です。
第三の盲点は、害虫の潜伏場所に対するアプローチです。バルサン使用前の事前準備において、クローゼットや押し入れ、キッチンのシンク下収納を完全に閉め切ったまま噴射してしまう失敗が多発しています。ゴキブリやチャバネゴキブリは暗く狭い隙間に密集するため、戸棚や引き出しは数センチから十数センチほど「少しだけ開けた状態」にしておくことで、薬剤の潜行効率が劇的に向上します。