芦屋市六麓荘町の真実|コンビニ不可の建築協定と大富豪が暮らす理由

芦屋市六麓荘町の真実|コンビニ不可の建築協定と大富豪が暮らす理由

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六麓荘町の街並みを歩いて誰もが最初に抱く違和感、それは「生活の匂いがする施設が何ひとつない」という点にあります。一般的な新興住宅街であれば駅前や幹線道路沿いに並ぶはずのコンビニ、スーパー、ドラッグストア、果てはコインパーキングや飲料の自動販売機に至るまで、商業看板の類は一切視界に入りません。

この徹底した住環境の背景には、芦屋市が定める景観保護条例と、1970年代から住民主導で引き継がれてきた極めて強固な六麓荘町 建築協定があります。六麓荘町は都市計画法上の「第1種低層住居専用地域」に指定されていますが、さらに独自の厳しい上乗せ基準が課されており、一戸建ての専用住宅以外の建築は原則として許可されません。

なかでも街の景観を決定づけているのが、六麓荘町 最低敷地面積400平米(約121坪)という絶対ルールです。日本の大都市近郊では、地価高騰に伴って広大な土地が細分化され、狭小住宅が乱立する「ミニ開発」が景観破壊の主因となってきました。しかし、六麓荘町では敷地を400平米未満に細分化して売却・建築することが禁じられています。さらに建物の高さは10メートル以下(地上2階建てまで)に制限され、建ぺい率は30〜40%以下、敷地の一定割合以上を緑地帯として残すことが義務付けられているのです。

景観の美しさを際立たせているもう一つの要素が、昭和初期の街開き当初から構想されていた電線地中化です。1928年(昭和3年)、大阪の財界人たちが「東洋一の高級住宅街」を目指して六麓荘の開発に着手した際、香港の高級住宅地九竜半島をモデルに無電柱化が導入されました。美観を損なう架空配線を地中に埋設した街並みは、現代の都市開発の先駆けであり、2026年の現在においても圧倒的な開放感と威厳を放ち続けています。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。