ゴッホ展を巡っては、インターネットやSNS上で一部の誤解や思い込みが流通しており、注意を払う必要があります。典型的な例がゴッホの『ひまわり』の来日情報にまつわる混乱です。
ネット検索では「上野にひまわりが来ているのか?」という疑問が頻出しますが、世界に現存する『ひまわり』の花瓶を描いた連作は、ロンドン・ナショナル・ギャラリーやアムステルダムのゴッホ美術館、そして日本国内では新宿のSOMPO美術館が常設収蔵しているものが広く知られています。今回の展覧会で展示されている作品群の正確な内訳を確認せず、「上野に行けば必ずあの有名な『ひまわり』が見られる」と誤解したまま来館し、展示室で首を傾げる来場者も少なくありません。
また、会場の立地に関する錯覚も存在します。上野公園内には東京都美術館のゴッホ展実績だけでなく、ル・コルビュジエ設計の本館で知られる国立西洋美術館や東京国立博物館など、国内最高峰のミュージアムが密集しています。現在開催されている展覧会がどの館の主催であるか、また上野公園の美術館スケジュール全体の中で各館がどのような展示動線を敷いているかを事前に把握しておかないと、公園内で迷子になり予約時間を超過してしまうリスクがあります。
さらに見落とせないのがゴッホ展の全国巡回情報です。東京展の閉幕後、作品群は名古屋や神戸、福岡などの主要都市を巡回するスケジュールが組まれるケースが多く、首都圏在住でない場合、無理をして混雑過熱期の上野に駆け込まずとも、地方会場での比較的落ち着いた鑑賞枠を狙うという賢明な選択肢も検討に値します。