作品を象徴する2人の主人公、弁護士の九条間人(くじょう たいと)と闇金業者の丑嶋馨(うしじま かおる)。この2人の人物造形を比較すると、真鍋作品における「アンチヒーローの美学」が浮き彫りになります。
両者の登場人物としての共通点は、自身の感情や世間の道徳観に一切流されず、冷徹に己の職責を果たすプロフェッショナリズムです。丑嶋が「情けをかければ自分が喰われる」という鉄の規律で債務者を追い詰めたように、九条もまた「どんな悪人であれ依頼人の権利を守る」という職責を機械的に遂行します。
一方で、両者には決定的な対比が存在します。丑嶋が「法の外側」で暴力を背景に金を回収する存在だったのに対し、九条は「法の内側」のルールを誰よりも熟知し、法の抜け穴を武器に戦います。暴力に頼る裏社会の住人すらも、最終的には九条の持つ「法律の力」に頼らざるを得ない構造は、ウシジマくん時代から一歩進んだ社会の暗部を提示しています。