「月額料金を払っている有料会員なのに、なぜ広告を見せられなければならないのか」――この率直な疑問こそが、ユーザーの最大の反発要因です。Amazonがプライムビデオへの広告導入に踏み切った背景には、動画配信プラットフォーム各社が直面している世界的なコンテンツ制作費とスポーツ生中継の放映権料の高騰が存在します。
グローバル市場では、2024年1月の米国・英国・ドイツを皮切りに順次展開され、日本市場においても段階的なテストを経て本格的な広告配信体制へとシフトしました。同社のIR決算資料や公式声明によると、導入の主目的は「魅力的なオリジナル作品や独占コンテンツへの長期的な投資原資を確保しつつ、会員基盤を維持するため」と説明されています。
これまでAmazonは、年額5,900円(または月額600円)という競合他社と比較して圧倒的な低価格を維持してきました。しかし、1話あたり数十億円規模に達する超大作ドラマの制作や、世界的なボクシング・野球などのプレミアムスポーツ放映権の独占獲得を継続するには、従来の会費収入モデルだけでは限界に達していたのが実情です。結果として、基本会費を大幅に一律値上げする代わりに「広告付きを標準とし、広告なしを希望する層に追加負担を求める」という、二段階のハイブリッド収益化へと舵を切ったのです。