多くの初心者が抱く「木で作られているものが木管で、真鍮(ブラス)や銀で作られているものが金管である」という認識は、完全な誤解です。楽器分類学(ホルンボステル=ザックス分類法など)や音楽音響学において、管楽器の区分は管体の材質ではなく、「管の中の空気をどうやって周期的に振動させているか」という発音体の正体によって厳密に定義されています。
その見分け方は極めてシンプルです。「演奏者自身の唇を振動させて音を出しているかどうか」、この1点を見るだけで瞬時に判別がつきます。
金管楽器は、カップ状・すり鉢状のマウスピースに唇を押し当て、息を吹き込みながら唇そのものをプルプルと振動させる「バズィング(Buzzing)」によって音を発生させます。このように唇をリード(振動弁)として利用する仕組みを、専門用語で「リップリード(唇リード)」と呼びます。トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバなどはすべてこのリップリード機構を採用しているため、金管楽器に位置づけられます。
これに対し、木管楽器は「演奏者の唇そのものを振動源としない管楽器の総称」です。木管楽器はさらに細かく分類すると、以下の2つの方式に分かれます。
1つ目は、マウスピースに取り付けられた薄いケーン(植物の葦)や樹脂の板を息で振動させる「リード楽器」です。クラリネットやサックスのように1枚のリードを使う「シングルリード」、オーボエやファゴットのように2枚のリードを重ね合わせて振動させる「ダブルリード」が存在します。
2つ目は、空洞のエッジ(角)部分に息の束(エアジェット)を吹き当てることで気流の渦流を生み出し、空気を振動させる「エアリード(無簧管楽器)」です。空き瓶の口に息を斜めに吹きかけると「ボー」と音が鳴る現象と同じ原理であり、フルートやピッコロ、リコーダーがこれに該当します。