観戦初心者が最も混同しやすいのが、土俵の最前列に広がる溜席との違いだ。日本相撲協会が厳格に管理する溜席は、通称「砂かぶり」と呼ばれ、力士の転落による事故防止やすらぎの維持のため、飲食や写真撮影、携帯電話の使用が固く禁じられている。座布団一枚の上で正座やあぐらを保ち、神事としての相撲をじっと見届けるストイックな空間である。
対照的に、枡席は飲食や歓談が公に認められた寛ぎの社交場だ。幕の内弁当を広げ、冷えたビールを酌み交わしながら、土俵の攻防について連れと語り合う自由が息づいている。松竹株式会社が手掛ける劇場興行や大相撲の現場において、演者との心地よい距離感を保ちながらリラックスして過ごせる点が、長年ファンを惹きつけてやまない理由だ。