胃腸の機能が低下しているときに消化器官へ過度な負担をかけないためには、消化プロセスの生理学的な仕組みを正しく把握しておく必要があります。胃の本来の役割は、分泌された強酸性の胃液と蠕動(ぜんどう)運動によって固形物を粥状に砕き、十二指腸へと送り出すことです。このとき、食品に含まれる栄養素の違いによって胃内に滞留する時間に大きな差が生じます。
厚生労働省の栄養指針や消化器内科の臨床データによると、炭水化物は約2〜3時間で胃を通過するのに対し、脂質を多く含む食品は4〜5時間以上も胃内に留まり続けます。脂質が十二指腸に到達すると「コレシストキニン」という消化管ホルモンが分泌され、胃の運動を抑制するブレーキがかかるためです。胃の中に食べ物が長く留まるほど、胃酸に晒される時間が延び、胃粘膜の荒れや胃もたれ、逆流性食道炎のリスクが急上昇します。
さらに見落とされがちなのが「食物繊維の種類」です。便秘解消などに重宝される不溶性食物繊維(穀物の皮、豆類、根菜類など)は、胃や腸の中で水分を吸って膨らむ性質があり、消化器が弱っているときは蠕動運動を過剰に刺激して腹痛や膨満感の原因となります。したがって、胃痛や胃もたれ時の間食選びにおいては、「1食あたりの脂質が極力低く、水溶性成分が主体で、組織が柔らかく崩れやすいもの」を選ぶことが科学的な鉄則となります。