『ポートピア連続殺人事件』は、名クリエイター・堀井雄二氏の作家性を世に知らしめた記念碑的タイトルです。本作の成功を起点として、後に『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』、そして『軽井沢誘拐案内』が制作され、これらはファンの間で「堀井雄二ミステリー三部作」と総称されています。
PC版からファミコンへの移植にあたり、堀井氏が導入した最大のイノベーションが「コマンド選択式UI」でした。キーボードによる日本語入力が一般的でなかったゲーム機において、「ばしょいどう」「ききこみ」「しらべろ」といった基本コマンドを階層化し、コントローラーの十字キーとボタンだけで直感的に操作できるシステムを構築したのです。
この「専門知識がなくても誰でも物語を進められるインターフェース」の思想は、1986年に誕生する国民的RPG『ドラゴンクエスト』の「はなす」「じゅもん」「つよさ」といったメニューシステムへダイレクトに継承されました。日本の家庭用ゲームが持つ親しみやすさと物語性の土台は、まさにポートピアの開発現場で築かれたといっても過言ではありません。