細木数子氏の原点を語る上で欠かせないのが、複雑極まる幼少期の家庭環境と、類まれな商才を発揮した若い頃の歩みです。1938年(昭和13年)、東京・渋谷の百軒店界隈で、父・溝呂木政吉氏と母・佐野ヨシ氏の間に誕生しました。父は当時の政財界や裏社会に顔が利くフィクサー的な人物であり、決して平穏とは言えない環境のなかで、細木氏は幼少期から人間の欲望と権力の力学を肌で感じ取って育ちました。
終戦後の混乱期、十代半ばにしてすでに自立の道を模索し始めた細木氏は、コーヒーショップの経営などを経て、20代にして東京・銀座に高級クラブ「カエサル」などを出店。卓越した気配り、相手の懐に飛び込む度胸、そして鋭い人間観察眼を武器に、瞬く間に銀座の一流ママとしての地位を築き上げます。当時の常連客には、政界の重鎮から大企業のトップ、芸能関係者までが名を連ねており、この時期に培われた強固な人脈と人間心理を見抜く眼力こそが、後の鑑定ビジネスやメディア進出の強固な土台となりました。