灯油ポリタンクの置き場所として真っ先に候補に挙がりがちなのが、風通しの良いマンションのベランダや、土間のある玄関先です。しかし、防災や住環境管理の観点から見ると、これらは最も警戒すべき保管場所といえます。
共同住宅における灯油ポリタンクベランダNG理由の最たるものは、消防法およびマンション標準管理規約上の「避難経路の確保」にあります。バルコニーやベランダは、火災時に隣室へ避難するための蹴破り戸や避難ハッチが設置された共用部分です。可燃物である灯油タンク(第4類第2石油類)をそこに常置することは、火災発生時に避難路を塞ぐだけでなく、延焼を爆発的に加速させる燃料源になりかねません。
さらに見逃せないのが日光の影響です。直射日光に含まれる強力な紫外線は、ポリエチレン製のタンクを急速に脆化させます。屋外で風雨と紫外線に晒されたポリタンクは、数シーズンで弾力性を失い、持ち上げた拍子に取っ手がもげたり、底面が割れて数リットルもの灯油が一気に流出したりする事故が毎年報告されています。
一方で、室内に目を向けると灯油ポリタンク屋内保管危険性も無視できません。気密性の高い現代の住宅において、揮発した微量の灯油ガスは室内に滞留しやすく、頭痛や気分の悪化といったシックハウス類似の症状を引き起こすことがあります。各自治体の火災予防条例に基づく灯油ポリタンク保管場所消防法関連の規定では、指定数量(灯油は1,000リットル)未満であっても「容易に転倒・落下・破損しない安全な場所で、通気性を保ちつつ火気から一定の距離を置くこと」が厳格に求められています。
靴の脱ぎ履きや人の出入りが激しい玄関にそのまま置く灯油ポリタンク収納玄関スタイルは、地震時に転倒して出入り口を塞ぐ危険性があるため、専用ボックス等での防護が欠かせません。